「体験型謎解きゲームにおける問題の分類と製作について」

こんにちは。
ちいたべあです。

今年度を通して研究的コミュニティ「ヒマラボ」で、脱出ゲームの研究・制作をしてきました。
ついに先日の「KAT×ヒマラボ成果発表会」でのスライド発表をもって今年度の研究的活動を終えました。

この記事は「体験型謎解きゲームにおける問題の分類と製作について」のタイトルで行ったスライド発表を再構成してまとめていきます。


そもそも体験型謎解きゲームの定義とは?

「どこかの場所に閉じ込められた!このままでは〇〇分後にみんな死んでしまう!暗号を解いてここから脱出しよう!」
っていうのが脱出ゲームの大筋のシナリオ。

少しまじめに定義すると、「能動性、課題解決性、情報分析性」の三要素を備えており、「成功判定」が存在するゲームといえるようです。
三要素については詳しく述べられていなかったので自分なりに解釈してみると、

  • 能動性:自分で考えて行動する必要がある
  • 課題解決性:解決しなければならない明確な課題が存在する
  • 情報分析性:取得した情報を整理して分析する必要がある

と言えそうです。

謎解きゲームの現状

情報元によってまちまちですが、謎解きゲームの市場規模は拡大を続けているようです。
現在は50億円規模と推定されています。ちなみにこれは、犬用の歯磨きガムと同じ規模です。*1

「リアル脱出ゲーム」を商標登録してるSCRAP社以外にも謎解き制作会社が設立され、アマチュア制作団体や高校生・大学生のサークルも多数存在しています。

実際に体を動かしながら協力して課題解決を図るという特徴は、地域活性化や児童教育、新卒採用など様々な分野に生かされています。

しかし、一般的に謎解きゲームがどのように制作されているのか、どうすれば面白いゲームを作ることができるかは明らかになっていません。


そこで、僕は「おもしろい謎解きゲームはどうすれば作れるか」明らかにするために研究的活動を行いました。

具体的には、既存公演の分析による謎解き問題の分類提案・ゲームの試作と公演・アンケートの分析をおこないました。

一般的な体験型謎解きゲームの構造

謎解き製作者の南さんの講演スライドによると、一般的な脱出ゲームには<小謎・中謎・大謎>という3つの行程が存在します。

特に注目すべきなのは大謎で、ゲームクリアに必須かつ、過去のすべての情報を統合して「気付く」必要がある部分です。
製作者の多くは始めにこの大謎の仕掛けを考え、これを実現するために小謎・中謎を作っていきます。

問題のジャンル分類

今回作成しようとした謎解きゲームは2~6人程度によるチームで取り組むものを想定していました。
集団での活動において、ある個人の集団への貢献度の自己評価と、活動自体への満足度には関連があることが分かっています。

個人によって問題には得意不得意があるため、様々なジャンルの問題を出すことで参加者全体の満足度に向上につながると考えました。

既存の公演やゲームブックなどから、<言葉パズル・数的パズル・観察・おきかえ・実物・想起・ひらめき>の7種類に問題を分類しました。

ゲーム制作

はじめに全体のストーリーと大謎の引っ掛けポイントを考え、それらを<小謎・中謎・大謎>の形式に沿って制作しました。

デバッグではまず一つ一つの問題を友人たちに見てもらい、それらを統合して全体のテストをおこないました。
これはITパスポートの資格勉強で学んだ、単体テスト-結合テストを模したものです。

デザインについては基本はPowerPoint、イラストやポスターはIllustratorとLINEカメラを用いました。

公演の様子


約120名の方に遊んでいただき、Twitterでも感想などつぶやいてもらいました。

脱出率は27.5%でした。想定は20%前後で作っていたので、思ったより皆さんクリアしたなという感じです。

アンケート分析

終了後にアンケートに回答をいただきました。
特に仮説は設定せず、探索的な分析をおこないました。

興味深かった結果をいくつかご紹介します。

謎解き経験度と脱出率の関係

謎解き経験を尺度水準として4階級にし、それぞれのゲームクリア率(脱出率)を見たところ、謎解き経験が高いほど脱出率が高くなる傾向がみられました。
これによって、謎解きが学習可能なスキルであることが分かります。

脱出成否と楽しさの関係

脱出に成功した人たちと失敗した人たちそれぞれの、ゲームへの満足度の平均を見ました。
結果、統計的に有意な差はありませんでした。

このことから、ゲームへの満足度が脱出の成否に影響されないことが分かりました。

まとめ

  • 一般的な体験型謎解きゲームは3段階に構造化されている。
  • 体験型謎解きゲームにおいて出題される個々の問題は、その特徴ごとに分類することができる。
  • 体験型謎解きゲームは経験によってクリア成功率が高まる。
  • ある参加者のクリア成否と、その人が感じる楽しさには関係がない。

展望と課題

問題分類はジャンルの定義付けの確立や細分化が必要です。
また、ジャンルごとの得意なセグメント、不得意なセグメントがどういった人々か調査することで公演ターゲットに合わせたゲームづくりができます。

脱出成否が満足度に関係しないことは分かったので、今度は価格・所要時間・ジャンルの偏り・デザインなど違う要因でも検証をしたいです。