あるむふぁっきら

福岡の大学生による雑記帳。

図解『孫子の兵法』を身につける本【書評・読書感想文】

わかる図解シリーズの「『孫子の兵法』を身につける本」を読みました。
図解 孫子の兵法 早わかり (1時間でわかる図解シリーズ)
孫子のなかにある格言に対して、当てはめることができる歴史上の戦いの具体例を挙げながら解説している本です。
興味深かったので覚えておきたい部分とかを書いておきます。

孫子とは?

中国,春秋時代の軍略家およびその著書名。

孫子(そんし)とは - コトバンク


孫子はもっとも有名な兵法書として様々な人物に影響を与えました。
中国・三国時代の英雄、曹操も自ら孫子に注釈をつけて部下たちに読ませたと言います。
またこの本の冒頭では、日本の戦国時代の北条早雲や、著書「戦略論」で知られるイギリスの軍事評論家リデル=ハートにも大きく影響を与えたことが述べられています。

孫子は兵法書、つまり戦いのための指南書です。戦いは命のやり取りをする場所ですから、人間にとって決断力や判断力が最も大きく問われる場所であるといってもいいと思います。孫子を研究する意義は、そのような人間にとって極限の状況を意識した書物だというところにあります。

「彼を知りて己を知れば百戦あやうからず」

最も印象に残ったのは上記の、情報収集の大切さを説いた言葉です。

この言葉の重要性がはっきりとみられるのが、太平洋戦争において日本海軍がアメリカに完敗したミッドウェー海戦です。
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アメリカ側

アメリカは日本の艦隊が慌ただしく動いていることから大規模作戦を予想し、様々な準備をしていました。
日本軍は「D暗号」と呼ばれる非常に複雑な暗号を使用していましたが、アメリカは総力を挙げてこれを解読し、作戦の内容を「日本側の艦長レベルが知るのとほぼ同程度まで把握してい」ました。
「AFには真水が不足している」との偽電文を日本側にわざと傍受させた話は有名ですね。

まさに「彼を知」っていたのです。

日本側

対する日本側の情報戦略はひどいものでした。

アメリカ側に暗号を解読されて作戦が筒抜けであることに気が付かず、「敵は我が企図を察知せず」などという文書を出しています。

またそもそも情報の扱い方も雑で、ある指揮官は「以降郵便物はミッドウェーあてに転送してくれ」などと平文電報を打っていたようで・・・。

出撃根拠地の呉では、飲み屋の女性まで「次はミッドウェー」というのが公然の秘密だったとのこと

これもひどい話ですね・・・。

太平洋戦争が初戦で日本が大勝利を挙げた奇襲作戦、真珠湾攻撃では、出撃直前まで主要幹部以外は作戦内容を知らなかったという徹底した情報統制がされていたというのに・・・。
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敵の様子も知らず、自分の情報がどこまで明らかになっているかも知らなかった、つまり「彼を知りて己を知れば百戦あやうからず」の真逆を行ってしまったのでした。

結果としてミッドウェー海戦で日本は空母4隻と多くの戦闘機・パイロットを失い、以降太平洋戦争はアメリカ優位で進んでいくことになります。
もちろんアメリカ勝利の要因はこれだけではないのでしょうが、情報の扱い方がとても大切であることを実感させるエピソードだと思います。

おわりに

最後まで読んでみると、孫子の兵法そのものというよりも、古今東西の様々な戦いのエピソードが頭に残っています。
日米開戦はソ連のスパイによって仕組まれたものだったことが明らかになったゾルゲ事件、日米の和平交渉ができるかもしれなかったダレス機関とのやりとりなど、高校日本史では紹介されなかった話を知ることができました。

また、ハンニバルやスピキオといった将軍たちのエピソードは高校で世界史を取らなかった僕にとってかなり新鮮でおもしろかったです。

全体的には、WWⅡとハンニバルのエピソードがかなり多く取り上げられていました。

戦況や陣形は図式されているので分かりやすかったです。
歴史好き、戦い好きの人にはおすすめの本でした。