あるむふぁっきら

福岡の大学生による雑記帳。

下町ロケット【読書感想文】夢を叶えるための力とは

下町ロケット (小学館文庫)

読んでみた理由

第145回直木賞を受賞した池井戸潤さんの下町ロケットを読んだ。

大学通信で工学部の学部長が新入生にオススメの本として紹介されていたのでそのうち読もうと思っていたら、友達が持っていて貸してくれた。

(※以下ネタバレあり)



あらすじ

父の後を継いで町工場の社長となった主人公が自分たちの作った部品でロケットを飛ばすという夢を実現させるストーリー。

といっても開発の苦労話、というよりは他社との戦いに話の主眼がある。
訴訟戦術で買収をもくろむライバル企業、窮地に陥ったと知るや手のひら返しの銀行、潤沢な資金に物を言わせて技術をかすめ取ろうとする大企業がいる。

さらには社内にも反対する者がいて、裏切りや離反が出る。

けれども、有能で良心的な弁護士や信頼できる部下、そして主人公本人の熱意が周りを動かし、ついにロケットエンジンに部品が採用されることになる。

夢を叶えるために必要な力

作中で主人公の佃は、自分の作った部品でロケットを飛ばすという夢をかなえた。

どうしてこの夢はかなったのだろう。
読みながら考えてみたけど

  1. 人脈
  2. 経済力
  3. 執念

だと思った。

人脈

ナカシマの訴訟を返り討ちにできたのは、元妻が有能な弁護士を紹介してくれたからだ。
運転資金を調達できたのは、銀行から出向してきた経理の殿村による。

元妻や出向社員という、少々付き合いにくいとも感じるような人間ともかなり良好な関係を築けている主人公だからこそ、さまざまな困難を切り抜けられたのではないだろうか。


一方でどんな人間とも慣れ合うべきだというわけではない。

「自分の分野ではないから」と本気で共闘してくれない顧問弁護士や、調子が悪い時には冷たく、業績が良くなるとゴマをすってくる銀行に対して、佃は「信用できない」とバッサリ。

「自分の都合のいいときだけすり寄ってくるような商売はよしてくれ。いい時も悪い時も、信じ合っていくのが本当のビジネスなんじゃないのか」

本当に信用できる相手を見極める力。そして自分も相手からの信頼に応える力が大切だと思う。

経済力

身も蓋もないようだけど、これなかったらダメ。ほんとに。

作中で、佃製作所が赤字に転落したことは一度しかないと語られていた。
先代の社長も、その後を継いだ主人公も非常に優秀な経営者だということだ。

何かに挑戦するのにはお金が必要。
クリーンルームを作るのも、熟練工を雇い続けるのも資金が必要。
莫大な金を研究費用につぎ込んだからこそ成功をつかむことができた。

執念

最終的にはこれか。

夢を捨てさせるような誘惑がどんな条件であっても、自分の信念を貫き通すこと。
たとえ相手が反対しても、感情的にではなく冷静に忍耐して納得させること。

自分の仕事にプライドと自信を持つこと。
佃の心は若手技術者たちにも伝染し、富山ら帝国重工の圧迫的なテストにも合格した。

佃は過去に大きな失敗をしたが、その失敗から学んで良いものを求め続けたからこそ、最後にロケット打ち上げ成功へとこぎつけることができたのだと思う。

まとめ

決して軽い話ではなく、むしろドロドロした人間心理の描写もあったが、そんなことよりも本当にサクサク読めた。読み通した後に、とても気持ちがすっきりするとてもおもしろい本だった。

まだ僕に「夢」として語れるものはない。
けれど、何歳になっても希望を捨てない、挑戦的な生き方がしたいと思った。



おわり