あるむふぁっきら

福岡の大学生による雑記帳。

通信制高校とは?公立と私立、広域と狭義の比較など。

 こんにちは、川尻いっちーです。

 ここしばらく、ウィッツ青山学園高校をめぐる不正事件のニュースが報道されています。通信制高校出身のぼくとしては通教(通信制教育の略)を利用する許し難い事件です。

 とはいえ通信制高校についてなじみのない人も多いと思います。そこでこの記事では、元通教生であるぼくが通信制高校についての基礎知識をまとめておきます。

通信制高校とは

制度の概要


f:id:space-tiger:20160916131916j:plain
毎日学校に通う「全日制」に対して、週に1回程度しか登校しなくてよい課程のことです。「レポート」と呼ばれる宿題と、「スクーリング」と呼ばれる週に1回程度の対面授業、そして試験で単位を取得し、一定の卒業要件を満たすことで高校卒業資格を得ることができます。この卒業資格は法律上、全日制や定時制を卒業した時のものと全く価値が同じものです。

また、通信制高校と聞くと多くの方が4年間通わなければならないと思うようですが、1998年の法改正により現在は順調に単位を取得すれば全日制と同じ3年間で卒業することができます。実際ぼくも3年で卒業しています。(ほとんどの通信制高校が単位制を採用していますが、ごく一部では学年制も使われています。)

通っている生徒

一昔前まで通っている生徒は定職に就いているのが一般的だったようですが、現在は6割の生徒がアルバイトもしていない状況です。入学者の内訳も多くが中学校新卒者であり、20代以降の生徒は少なくなっています。

また、ぼくの友人には他校全日制からの編入者が多かったです。病気により留年せざるを得なくなった、いじめを受けた、学校が嫌になったなどの理由でした。

つまり、通教生に対するステレオタイプな「苦学生」というイメージはあまりあてはまらなくなっています。

通信制高校の区分

設置母体による分類

 通信制高校はその設置母体から、公立・私立・株式会社立の3つに分類することができます。

公立

 県や市などの自治体によって設置されているものです。全日制高校に併設されている場合が多いようです。併設されている全日制高校はその地域で進学校として知られていることも珍しくなく、そういった高校の通信制課程を卒業すればなんとなくお得感があります。ぼくの通っていたのも全日制に併設された通信制課程でした。

もちろん、通信制のみが設置されている、あるいは定時制と併設されている公立高校もたくさんあります。

  • 京都府立朱雀高校(全日制、定時制と併設)
  • 広島県立西高校(単置)
  • 愛媛県立松山東高校(全日制と併設)
  • 福岡県立博多青松高校(定時制と併設)

など。

 自分の経験と私立通信制にいた友人の話をすりあわせてみるに、個人的な感覚として公立通信制はレポートを厳しく採点したり、スクーリングは私語厳禁だったりするなどある程度厳しい指導がなされていると感じました。

私立

 学校法人によって設置されているものです。通信制でありながら毎日登校してもよい仕組みがあったり、逆に年間数日の合宿でスクーリング要件を満たすことができたり、他の専門学校と連携した授業があったりと公立に比べて自由度が高いのが特徴といえます。

  • クラーク記念国際高校:通信制高校として史上初の夏の甲子園出場

www.hb-nippon.com

  • NHK学園:放送大学の高校版といえる
  • N高等学校:角川ドワンゴが今年(2016年)に設立。授業やレポート提出をネットで行う。

など。

株式会社立

 これまで学校を設置できるのは公共団体や学校法人だけでしたが、2004年から第一次小泉内閣の「構造改革」の一環として「教育特区」が設けられ、その地域内では一般の会社も学校を設立することができるようになりました。学習指導要領に縛られない自由な教育と、生徒が集まることによる地域の活性化が主な目的だったようです。

  • 第一学院
  • ウィッツ青山学園
  • ルネサンス高校

など。

 株式会社立の高校はウィッツ青山の不正受給問題のほか、スクーリングを行っていなかったりレポートの添削が不適切だったりと多くの問題を抱えています。もちろん真摯に経営をしている学校がほとんどだとは思いますが、高校卒業資格を得るのにふさわしい質の教育が受けられるのか疑問があるところです。

 ただし株式会社立の学校は経営上、助成金が受けられない、税金を納める必要があるなど学校法人に比べて不利な点が多くあるようです。

校区による分類

狭義通信制

 普通の高校のように校区が設定されており、その校区内に住んでいる人のみが入学できる学校です。おそらく、全ての公立通信制高校が狭義通信制です。私立の中にも4割ほど狭義通信制があります。

 校区は多くの場合、その高校が所在する都道府県となっています。

広域通信制

 校区が複数の都道府県にまたがっている、もしくは、全国どこからでも入学できる高校です。広域通信制高校は各地に分校や協力校を持ち、そこでスクーリングやレポート提出を行うことにより広い地域に住む生徒に対応しています。「協力校」とは、通信制高校に対して授業をする教室や施設を貸してくれる別の高校のことです。(公立の通信制高校も遠隔地に住む生徒のために県内に協力校を持つことがあります。)

 また、上の「私立」「株式会社立」の欄で例として挙げた全ての高校が広域通信制です。

まとめ

f:id:space-tiger:20141008093710j:plain
 一口に通信制高校といっても、その形態には様々なものがあります。多様化する個人の生き方に合わせた教育方式を選べるという点で、通信制高校には大きな可能性があります。

また、一旦「人生のレール」から外れてしまった(と感じる)人がやり直しをするチャンスの場でもあります。

 同じ高校の中でも様々な背景、違う年齢層の生徒がおり、いろいろな人と同じ教室で学ぶことができ視野が広がるという利点もあります。


 一方で通信制の一部が「学びたい」「高校卒業資格が欲しい」という気持ちを利用した不正が行われる温床にもなってしまっていることがとても残念です。事件を起こした会社は許し難いと思っています。

 ぼくは通信制高校へ行ったことで良い先生や仲間と出会いました。生きることの大変さや楽しさも高校生なりに理解できました。だから、通信制高校に対する理解が少しでも深まればと思い、この記事を書きました。

 学びたい、と思うすべての人が学べるためのツールの一つとして、これからも通信制高校がその役割果たしていくことを願ってやみません。


関係するかもしれない記事

space-tiger.hateblo.jp